お知らせ・コンテンツ / 時間コラム | 2026.07.05 | 執筆:矢部大(経営コンサルタント)

社長と幹部の時間を「月50時間」生み出す方法:中小企業が真っ先に導入すべき「時間創造部」の業務設計

「AIを導入したいが、検討する時間すらない」——中小企業の社長から、この言葉を何度聞いたかわかりません。DXだ、AIだ、と世の中は騒がしいのに、肝心の社長と幹部が目の前の業務に沈んでいて、新しいことを考える時間がゼロ。これが日本の中小企業の、偽らざる現在地だと思います。

この記事では、拙著『スーパータイムマネジメント』のエッセンスをもとに、社長と幹部の時間を月50時間生み出す「時間創造部」の業務設計をお話しします。AIより先に、まずこれをやってください。AIを回すための「土台の時間」がない会社に、どんなツールを入れても動かないからです。

時間は「管理するもの」ではなく「創造するもの」

世の中のタイムマネジメント論の多くは、「今ある時間をどう効率よく使うか」を教えます。スケジュール帳の書き方、隙間時間の活用、マルチタスクのコツ。しかし、私の考えは根本から違います。

時間は管理するものではなく、創造するものです。

スタントの現場で、私は「1秒」の重みを叩き込まれました。爆破のタイミング、車の衝突、落下の受け身——すべてはコンマ数秒の設計で、生死が分かれます。だからスタントチームは本番前に、動きの一つひとつを「これは本当に必要か」と削ぎ落とし、必要な動きだけを残します。削るから、時間が生まれる。生まれた時間が、安全と品質をつくる。この原理は、経営でもまったく同じです。

「時間がない」と言う社長の1週間を見える化させていただくと、ほぼ例外なく、時間は「ない」のではなく「奪われて」います。誰に?——なくても困らない会議、読まれない報告書、社長でなくてもできる承認、その場にいるだけの打ち合わせに、です。

時間創造の考え方を含む経営の全体設計は、無料PDF「AI×感動創造部 売上倍増の設計図」でも解説しています。

月50時間はどこに眠っているのか——幹部の時間の解剖図

「月50時間」と聞くと大げさに感じるかもしれません。しかし、分解すると現実的な数字であることがわかります。私が8社を同時経営していたとき、各社の幹部の時間を実際に解剖して出てきた「埋蔵時間」は、おおよそ次の通りでした。

合計、月50時間。注目していただきたいのは、50時間のうち35時間は、AIを使わずに生まれるという事実です。削除と簡素化が7割、AIは残りの3割。世の中の「AIで業務効率化」の議論は、この順序が逆さまなのです。不要な業務を削らないままAIを入れると、不要な業務が高速化されるだけ——私はこれを「速く空回りする」と呼んでいます。

「時間創造部」の業務設計——4週間で立ち上げる

この考え方を、一過性のカイゼン運動で終わらせず、組織の仕組みとして定着させたものが時間創造部です。特別な部署を新設する必要はありません。既存の幹部2〜3名に「時間を創造する」というミッションと権限を与え、次の4週間サイクルで立ち上げます。

第1週|時間の見える化
社長と幹部全員の1週間を、30分単位で記録する。感想や反省は不要、事実だけ。ここで「時間が奪われている場所」が全員の目に見えるようになります。
第2週|削除
すべての会議・報告・承認に「誰が、なぜ必要と言ったのか」を問い、答えられないものを廃止する。少し不安が残るくらい削るのが正解です。後で必要になれば戻せばいい——戻すのは1割以下で済みます。
第3週|簡素化と権限設計
残った業務を短くする(60分会議→25分、資料10枚→メモ3行)。同時に「可逆な判断は現場で即決」の権限ルールを明文化する。幹部の残業は、実はこの週にいちばん減ります。
第4週|AI化と再投資
残った定型業務をAIに移す。そして生まれた時間の使い途を先に決める——お客様を感動させる企画、幹部の学び、新規事業の検討。使い途を決めないと、空いた時間は元の業務に埋め戻されます。

時間創造部の立ち上げ、タイムマネジメントセミナーのご相談はお気軽にどうぞ。

よくある失敗——時間創造部が3か月で消滅する3つの理由

正直にお伝えすると、時間創造の取り組みは、放っておくと3か月で元に戻ります。私が見てきた失敗には、はっきりした共通パターンが3つあります。先に知っておけば、すべて回避できます。

3つに共通するのは、時間創造が「制度」ではなく「トップの姿勢」で決まるという事実です。仕組みは私どもがいくらでも設計できます。しかし最初の会議を消す勇気だけは、社長にしか出せません。

まとめ——生まれた時間を、何に使うかがすべて

最後に、いちばん大事なことをお伝えします。時間創造部の目的は、残業を減らすことでも、業務を効率化することでもありません。社長と幹部が「お客様の喜びを考える時間」を取り戻すことです。

月50時間あれば、お客様一人ひとりの顔を思い浮かべて「予想を超える一手」を設計できます。AIに営業の設計図を学習させる仕込みができます。つまり時間創造は、感動創造の土台なのです。時間を創り、感動を設計し、AIで仕組みにする——この順番が揃ったとき、中小企業の売上は静かに、しかし確実に倍増へ向かいます。

まずは今週、あなたの会社の会議を一つ、勇気を持って消してみてください。それが時間創造部の、最初の一歩です。

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経営コンサルタント 矢部大
矢部 大(やべ まさる)|経営コンサルタント

バク転世界ギネス記録保持者。元スタントマンから経営の世界へ。感動営業×逆転発想術で8社同時経営・年商15億を達成。セミナー登壇300回以上、NHKで紹介。著書『スーパータイムマネジメント』『戦わずして売り続ける 最強営業の法則』ほか。創業の歩みを見る →

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